円安の恩恵は大

                       ―――円安の問題点に御用心―――200771

  ヨーロッパがユーロ高に音を上げている。

  為替相場は経済力を表すのであるから、為替相場が上がることは好ましいことのはずである。しかし、その結果として景気に悪い影響が出てくるために、ほどほどにしておきたいと考えるのが自然である。

  ユーロ高のためにヨーロッパ製品の価格が割高となり、輸出競争力が落ちてきた。そのうえ海外製品が割安となって流入する。そのために、ヨーロッパの企業はより厳しい競争に晒され、景気の足を引っ張るようになっている。

  彼らが是正を求めているのが我が国の為替相場である。円相場が安くなっているためである。ただし、我が国が国策として無理に円を買い支えているわけではなく、自由な為替市場に任せているのである。またアメリカがヨーロッパに同調しないために、公式的には非難されることにはなっていない。

  それでも我が国としては円安のお陰で大変助かっていることは間違いない。国内の売上が低迷から減少気味になってきており、景気が下降する気配を示している。それを下支えしているのが輸出である。

  円相場は上下を繰り返しながらも弱含みで推移している。本来は国際収支の膨大な黒字がさらに増えているのであり、円高になっても不思議ではない。それにもかかわらず需要と供給の面から見ると、異常に低い円金利のために、円を買う人が少なくて円を売る向きが多いために、円相場が値下がりしている。

  低金利の背景には極端な金余りがあり、それが今後も長く続くと考えられるために、円安が続く可能性がある。

このことは我々にとってはありがたい。通常は為替相場が下がると、信用不安を引き起こし、国際金融市場で資金が取れなくなって、国家が破綻する恐れが出てくる。しかし我が国の場合にはその心配は全然ない。国際収支の黒字が膨大でしかも増えているからである。

ところが相手国であるヨーロッパやアメリカにとっては痛手となる。とくに膨大な国際収支の赤字を続けるアメリカにとっては、このような高いドル相場が続けば、国際競争力がさらに低下していくであろう。それを何時まで我慢できるかの問題になる。

  いずれ為替相場は大きく調整せざるを得なくなるであろう。その時には世界中の経済が調整を迫られる。現在、円安の恩恵を受けている我が国の景気は大きく低下する怖れがある。為替相場の変動による直接的な得失も大きくなっているものの、さらに大きな影響が経済全体に及ぶことを忘れてはならない。

―――セイコーエプソンWeb 税務会計情報ネットTabisLandへの寄稿(2007.7.一)から―――